署名証明

私文書の場合、その私文書が明らかにロシアでの使用目的のため作成されたものであるならば、総領事館は、公証人の役割を果たすことになり、証書の作成、署名証明等を行います(日ソ領事条約第34条)。

この場合:

  1. 身分証明書(旅券あるいは住民票)と印鑑を提出しなければなりません。これら書類にはアポスティーユは不要です。
  2. 本人(証明される文書に署名した方)の出頭が必要となります。

法人の署名証明は原則として行っておりませんので、公証人役場で行ってください。したがって、日本外務省でアポスティーユをもらいますと、この書類はロシアのどの機関でも受け入れられます。

公文書の内容に関する宣言書、公文書によって証明すべき事項に関する宣言書、会社定款などの明らかにロシアだけではなく一般的な使用を目的とする文書の場合は、署名証明は一切行ないません。

アポスティーユとは、「外国公文書の認証を不要とする条約」(ヘーグ条約、1961年締結)が定めているもので、Apostille(証明文)というフランス語です。日本とロシアはこのヘーグ条約に加盟しています。

ヘーグ条約第3条によると、「条約加盟国には、この署名の真正、文書の署名者の資格及び場合により文書に捺印されている印章の同一性の証明用として要求することができる唯一の手続当該書を発行する権限のある当局があり、この当局の付与する証明文は認証が不要とする」とあります。日本の場合、上記の「権限のある当局」とは、日本外務省です。日本の書類に対するアポスティーユは、日本の東京の外務省の書類認証課で取得することができます。(代表電話番号:03-3580-3311、住所:〒100-8919、東京都千代田区霞ヶ関2-1-1。さらに、東京と横浜の殆どの公証人役場でも受けられます。

注意! 在札幌ロシア連邦総領事館では(ハーグ協定9条により)アポスティーユを付与する権利はありません。

アポスティーユが付与された文書は、ロシアでも公認されます。

つまり、法律上の効力を持ち、裁判係争の証拠になるなどの正式な目的で使うことが可能です。

但し、ロシアの公証人法第106条によると、領事認証あるいはアポスティーユの付与の必要な書類に対して付与が為されていない場合、この書類の翻訳証明はできません。アポスティーユの付与が為された後にのみ翻訳証明が可能となります。

アポスティーユの付与による証明が必要な公文書(ヘーグ条約第1条):

国の司法権に係る当局又は職員が発する文書(検察官、裁判所書記、又は執行吏が発するものを含む);

行政官庁の文書;

公正証書;

登記済み又は登録済みの証明、確定日付証明、署名証明その他これらに類する公的な証明であって、私的証書に付するもの。

但し、例外として、次の公文書に対するアポスティーユの付与は不要です:

外交官又は領事館が作成する文書;

行政官庁の文書で商業活動又は税関の事務と直接の関係があるもの。

従い、戸籍謄本・抄本、住民票、公正証書、法人の登記簿謄本・抄本、法人の履歴事項全部(一部)証明書などは、アポスティーユが付与されていなければ翻訳証明ができないことになります。

私文書(民間企業、非政府組織、個人が作成する文書)は、ヘーグ条約の適用を受けません。従って、ロシアにおける私文書の効力は、ロシアの国内法によって規定されています。つまり:

法人が作成した私文書:公文書と同様にアポスティーユの付与による証明が必要となります。例えば、ロシアで子会社や支店または事務所を設立しようとする場合、会社定款はアポスティーユを付与し提出することが必要です。日本で作成された委任状も(具体的な商売取引を委託する委任状を除く)、ロシアで使用するため、アポスティーユの付与が要求されます。

個人が作成した私文書:これらは、ロシアの公証人法第 78 条によると、公証人によるその個人の署名が証明されなければ、その私文書の翻訳証明をすることができません。公証人による署名証明があれば、ヘーグ条約が適用され、アポスティーユの付与が必要となります。

すなわち、翻訳証明を申請する前に、公証人の役場で署名証明をし、地方法務局で公証人の署名又は印鑑を証明した後、外務省で地方法務局の印鑑をアポスティーユの付与により証明してもらって下さい。つまり:

会社の代表権のある者(代表取締役またはその法律上の代理人)が、公証人の役場で、この私文書が現行(有効)であること又は原本と相違ないことを述べて、公証人の認証を受ける。

地方法務局では、公証人の印鑑を認証します。

外務省では、アポスティーユの付与によって地方法務局の印鑑を認証します。

アポスティーユの付与に関する詳しい情報は、日本外務省のホームページ をご覧下さい。


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